うた恋。/杉田圭(百人一首②)
あんまりにも暑いから最近、暴走族の音を聞かないと思っていたら最近復活してる。
暑さに慣れてきたのか。熱風切って走る俺たちの(マジで)暑い夏。
熱中症で事故るなら人に迷惑かけないところでお願いしますね。
百人一首その②です。
今回はお気に入りの漫画です。
「うた恋。1~4」
「うた変。1・2」
「恋のうた」
大好きな歌人がすごく素敵に描かれているとても好きな本。
この本の解釈が私の百人一首解釈の鉄板の下地です。
お気に入りカップル
藤原定家(第97首)&式子内親王(第89首)
僧正遍昭(第12首)&小野小町(第9首)
在原業平はソロで♡
百人一首は「俺の大好きなうたベスト100」な訳ですから、当然に趣味が偏っているはず。
選者って、言ってみればセレクター。クラブのDJみたいな。
デジタルで作曲するDJじゃなくて、歌を選んで流してフロアを回す、クラブのDJね。
DJによってフロアは全然違う空間になる。「このDJのセレクトすきー」なんて感じたりする。
古典には色んな和歌のアンソロジーがあるけど、一番有名なのは間違いなく百人一首だから選者の藤原定家は日本史上に残る名DJなわけですね。
私が百人一首の歌人でもともと好きだったのは、在原業平と小野小町の二人。
平安きってのイケメンプレイボーイと日本史上№1の美女で、アイドル性あふれる華ある二人です。
誰に主張しても恥ずかしくない「押し」にふさわしい二人。
そして、そういう意味での華はなくても、藤原定家は知れば知るほど面白い。
14歳年上のロイヤルプリンセス式子内親王との秘密の恋は妄想のネタとしては最高。
二人をモデルに自分で物語とか書いてるし。
97首を詠んだとき定家は55歳。きっと死ぬまで忘れられない恋だったんだろうなぁ。
気性が激しくて若いころ宮中で乱闘騒ぎ起こしたりしちゃうところとか。
和歌の大家、藤原俊成の49歳の時の子供で甘やかされて育ったやんちゃくれ坊やなのねきっと。
第99首(後鳥羽院)と第100首(順徳院)にも不満を言って怒らせて不仲になっちゃって(めっさ偉い人にすら忖度とかできない)
一生不仲なままなのに二人の歌を最後の二首に持ってくるとか。
「不仲な二人の歌をトリに持ってくるのはおかしい。後で誰かが入れ替えたに違いない」という説もあるようですが、私はちゃんと定家が選んだんだと思う。
後鳥羽院のうたは定家のことも思って詠っていると思う。そして定家もそれを受け取っているように感じる。
会社とか辞める時に、それまでそつなく仲良くしていた人との別れは何ともないのに、本気でぶつかって喧嘩した人に挨拶した時に物凄い感情が沸き起こって泣きそうになったりすることあるでしょ。良くも悪くも本気でぶつかった人間関係は深い傷を残していると感じることが多い。人は自分を守るために何重も心に壁を作っている、その中に入ったってことだから、そりゃあ傷も残るんだろう。
それと、後に大流行する定家の筆跡「定家様」もすごく好み。フォント買いたい。使い方わかんないけど。
百人一首を選んだ時の定家は70代。人生達観するお年頃だけどロマンに満ち溢れている。
でもこんなみずみずしい感性の70代もいるのなら生きていくのも悪くないとさえ感じる。
っていうか、全力でロマンに生きている定家が選んだ100首だから、私が平安時代の人は全力で生きていると感じたのかもしれないですね。
もう一つだけ百人一首で書きます。
文学ブーム暫く続きます。