ハーモニー/伊藤計劃

2008年に刊行されたSF小説です。

 

第40回星雲賞(日本長編部門)および第30回日本SF大賞受賞。「ベストSF2009」国内篇第1位。

コミカライズとか、アニメ化ともされてるようですね。

映像化されるとさぞかし壮大で綺麗なヴィジュアルになるんでしょう。

私はアニメを見ないので見ることはないと思いますが、想像するだけでも素晴らしい。

 

2009年3月に34歳で亡くなる前の年に病院で執筆された本です。

溢れ出る死生観が、文章から押し寄せてくる感じです。

医療分子の発達で病気がほぼ駆逐された世界で、

見せかけの優しさや倫理に抵抗して餓死することを選択した三人の少女・・・

 

Wikipedia見たら、かなり詳しいところまであらすじが書かれてあって

えーいいの?こんなに書いていいの??って思いましたよ。

あらすじは見ないで読むことをお勧めしますよ。

 

印象としては、10代後半から20代の男の子向きだと思われます。

そこに全く引っかからない私の感性では確かにとらえきれないものが多々あり、

満身創痍で固まってしまった心が、若さ溢れるパッションに反抗するのを抑えつつ、

頑張って思い出す、自分もかつては少女だったことを(笑)

でも主人公の美しい少女たちはやっぱり少女というよりは少年っぽい気がします。

論理的な思考パターンが、やはり男の子的な。

対談で性別を決めずに書くといわていますしね。

 

大人になった主人公の、内なる葛藤はとても美しいと思いました。

 

作品っていうのはジャンルを問わず全て作者そのものであり魂の叫びだと思う。

作者が病気じゃなかったらこの話は生まれなかっただろう。

翌年に亡くなってしまわなければもっといろんな物語を書かれただろう。

 

才能とか実力とか努力とかではどうにもならないものがある。

 

いま私たちはこの時代に生きている。

魂が叫ぶなら何でもいいからかたちにしていけばいい。

せっかく生きているんだからね。

 

 

 

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